「茨の刻印」・32




「えーっと、パンに卵…それとレタス。これで全部かな」
 ゆるい三つ編みの紫銀の髪と黒縁の眼鏡をかけた地味な衣装に身を包んだ少女は確認の為呟いた。
 少女の名はティナローザ。この国イルアーナの第二王女である。正体がバレない様に外出時は必ず変装しているのだ。
 姫はフォレストの頼みで食料を買いにイトスの町の中心部の方へ来ていた。
 人々の喧騒に混じって方々から鉄を鍛える鍛冶の音が聞こえてくる。煙突からは煙がゆらりと立ち昇っている。何とも長閑な昼下がりである。
 食料の詰まった大き目の紙袋を抱えて姫は家路へと歩みを進めた。
 たった一人で外出するという事は本当に久しぶりの事だった。 
 いつも誰かが側に控えていて、少し窮屈だなと感じたこともしばしばである。
 そんなわけで姫はひさびさの自由を満喫していた。
 心地良く頬を撫でる風に、空を見上げる。綿菓子のような柔らかな雲がぷかぷかと浮いている。
 何だか本当に食べられそうなくらいに美味しそうにみえるな。
 姫はくすりと笑みを漏らした。
 その時。
 左肩にどん!という衝撃が襲い掛かってきた。咄嗟の事に驚きはしたが、なんとか買い物袋は落とさずに済んだ。変わりに黒縁の眼鏡が落ちていたが。
 いけない、早く身につけねば!
 姫は地面に落ちた眼鏡を拾おうと素早くしゃがんで手を伸ばした。しかし、姫が眼鏡を取る寸前に別の手が現れた。
「すまない」
 詫びながら眼鏡を差し出す。その若い男性の、どこか聞き覚えのある声。
 恐る恐る顔を上げてみると、姫の予想通り騎士団長ラクエルであった。よりによって城の者とぶつかるとは、と姫は思わず渋面になる。
「…ひ、ひもご…」
 姫と発音しかけたラクエルの口を慌てて片手で塞ぐ姫。次いで、他言無用と自分の口の前で人差し指を立てた。
 ラクエルは解りましたと頷いて見せた。ラクエルの忠義振りとその性格の誠実さは常日頃から知っていたので、姫はそっと彼の手を覆っていた手をどけた。
 そしてラクエルから受け取った黒縁の眼鏡をかける。
「まさか、このようなところにおいでだとは……道理で探しても見つからないわけですね」
「迷惑をかけて済まないな…」
 姫は申し訳なさそうに笑みを作った。
「いえ、姫の御身が無事なら私はそれで……」
 ラクエルは本当に心の底から大切な主を想う笑みを浮べた。
「ここであった事は黙っていてくれないか。無実を晴らすまでは捕まるわけにはいかない」
「解りました。くれぐれも無理をなさらないでください」
「うむ。ところでラクエルはここへは何の用で来たのだ?」
「ああ、コレです」
 と言って腰に差していた剣を片手でぽんと軽く叩いて見せた。
「剣の精錬か」
 姫の言葉にラクエルは頷いた。
「では、私はそろそろ行く。ラクエルも色々大変だろうが頑張ってくれ」
 微笑みながら踵を返す姫をラクエルは思わず呼び止めそうになる。
「ひっ…いえ、何でもありません。あなたもどうかご無事で」
 何か言いたそうなラクエルを不思議そうに見た姫だったが、解ったと頷いた。
 そうして人ごみの中に紛れていく姫を小さくなるまでラクエルは見つめていた。
「また、私は……」
 引き止めなかった、いや、引き止められなかった。
 後悔する事は解り切っているのに。
 あの穢れを知らぬ瞳に見つめられると自分が酷く邪な気持ちを抱いているようで…。
 ラクエルは邪念を振り払うように頭を振ると、城へ帰るべく足早に歩いて行った。

 姫が仮の住まいに着き、扉を開けようと手を伸ばそうとした途端、それは少し軋む音を上げ開いた。
「お帰りなさい、ティア」
「よ、良く解ったな…」
 声を出したわけでも扉を叩いたわけでもないのに。
「いえ、窓からティアが戻ってくるのが見えましたので」
 言いながらフォレストは微笑する。 
「そうか、いきなり開いたから少し驚いたぞ」
 姫は買い込んだものを机の上に置く。
「フォレスト、さっきラクエルに会った。私がイトスにいることがバレてしまった。ラクエルの性格からして口外する事は無いと思うのだが…」
 姫は申し訳なさそうに事の経緯をフォレストに説明した。
「そうですか。その変装はそう簡単に見破れるものでは無いと思ってたんですが、解る人には解っちゃうんですねぇ。眼鏡が取れてなかったらやり過ごせたかもしれませんが。まあ、バレてしまったものは仕方ないですし、何時追っ手が来ても良い様に気持ちだけは引き締めておいてください」
「うむ」
「まあ、普通の人間がこの家まで辿り着くことが出来るとは到底思えませんけど」
「え?」
 普通の人間は辿り着けないって…。私は戻ってこれたぞ。
「私が許可した者以外、ここへは決して辿り着けない魔法がかけてあるんですよ。いわば迷いの森みたいに」
 そう言ってフォレストはにやりと笑みを浮べた。
「な…」
 何て用意周到な。道理でやけに余裕があると思った…。
 フォレストほどの魔術師がかけた魔法なんてそうそう破れる物じゃない。賢者と呼ばれるほどなのだから。
「今ちょうど紅茶を淹れたところなんです。ティータイムにしましょうか」
 全く、こんなのんびりとお茶なんかしてて良いのだろうか。
「……ああ」
 かといって自分に出来ることは他になく、姫は少し遅れてそう返事したのだった。

*          *          *
 

 その頃、羽猫のシロちゃんとクロちゃんはフォレストの命令でルヴォラムの屋敷へ来ていた。
 屋敷内を自由に飛び回る為に、姿を見えないようにしている。
 大臣の屋敷と言うだけあってその造りは見事なものである。ゴシック様式の城を思わせる屋敷で柱に掘り込まれた天使像がとても美しい。
「とっても立派なお屋敷ですぅ〜。アレイラルの家とは天と地ほどの差があるですぅ〜」
 シロちゃんはパタパタを羽をはためかせながら呟く。
「しっ。人が来る…」
 シロちゃんが屋敷に見とれている間にも、クロちゃんは冷静に辺りの様子を伺っていた。
 姿を隠しているので見つかる心配は無いが、声は聞こえているのだ。用心するに越したことはないのである。
 長い廊下の曲がり角から姿を現したのは若い男性だった。白金色の髪に紫の瞳の優男風でマントを羽織っている。その胸元には魔術師の証であるブローチが留められていた。
 翠玉の魔術師オルファードである。
 一瞬、彼と目が会ったような気がしてクロちゃんは緊張した。
 いや、見えるはずない。自分達は今、身を隠しているのだから。
 オルファードはこちらへ歩み寄り、何事もなくシロちゃんとクロちゃんの間を通り過ぎていった。
 …と思ったのだが。
「覗き見とは、いやらしいね?」
 すれ違いざまに口元に微かに笑みを浮かべ、彼はそう告げた。
 シロちゃんがほけっとしている間に、主の声が自分の口を通して出る。
『そういう貴方こそ、ここで何をしてらっしゃるんです?』
 フォレストは少しも慌てた様子もなく平然とそう言った。
「僕? ここのお嬢様のご機嫌取りだよ」
 オルファードは羽猫達の方には視線を移さず、前方を見据えたまま言った。
『それはまたどうしてですか。貴方には可愛い彼女が居るじゃないですか』
「君の居場所と引き換えなら教えてあげてもいいけど?」
『残念ですがそれは出来ませんね』
 苦笑しながらフォレストは告げた。
「可愛げのない男だね」
『その言葉そのまま貴方にお返ししますよ』
「さてと、あまりお嬢様も待たせるのもアレだし失礼するよ。時と場合によっては君に加勢してあげるよ」
『それはどうも』
 オルファードはひらひらと片手を振りながら行ってしまった。
 そんな彼の背中を見ながらクロちゃんが尋ねた。
「マスター、何故あの人には私達が見えたんですか!? 人の目には見えないはずなのに…もしかして術を失敗しているとか…」
 不安そうに言うクロちゃんにフォレストは落ち着いた声で言った。
(彼は、というか高位の魔術師になると魔力を感知する能力が強くなってくるんですよ。彼は未だ翠玉の位に甘んじていますが、実力はトップレベルですよ)
 詳しい事は未だ解らないが、強い魔力に感化されるからだとか、本人が生まれながらにして持った魔力が強力だからだという考えが魔法研究院では主流となっている。
 暫く屋敷内の廊下を飛んでいると、前方から中年の、頬のややこけた片眼鏡をかけた細身の男性がこちらへ向かって歩いてくる。
 良い生地で仕立てた服も、むしろ彼が着られているという感が強く少しも品位が感じられない。
(さあ、シロちゃん、クロちゃん。本腰入れて彼をストーキングしましょうね)
 フォレストは楽しげにそう言った。
「マスターその言い回しは変態ぽくってシロは嫌いですぅ〜!」
(見事私の目の代わりを務めてくれたら甘くて美味しいケーキを食べさせてあげます)
「はーい! はいはい! 頑張りまーっす!」
「シロちゃん、声大きい…」
 クロちゃんの一言にしまったという表情を見せるシロちゃん。
 その斜め前方でルヴォラムがおや? と小首を傾げる様が見える。
 しかし、廊下には自分以外の者が居ないのを確認すると軽いため息をつき、そのまま奥のほうへと歩いていく。
 シロちゃんはその様子を見てほうっと一息ついた。
 美味しいケーキの為に頑張って尾行するです!!
 
 昼間は特にこれといって怪しい行動は無かった。
 シロちゃんは少し飽きて退屈そうにくあぁ!と大口を開けて欠伸をする。それを見ていたクロちゃんに尻尾で頭をぺしっと叩かれた。
 屋敷の者達が寝静まった頃、ある一室から人影が動いて見えた。
 ある一室は他でもない、ルヴォラムの私室であった。
 シロちゃんとクロちゃんはお互い顔を見合わせ頷くと、一緒にルヴォラムの後を尾行し始めた。
 ルヴォラムは暗い廊下を慣れた足取りで迷う事無く歩いていく。何度もこういう事をしているのだろう。
 屋敷の裏口から外へ出ると、屋敷を取り囲む壁沿いに北の方へ歩いていく。暫く行くと仄かな灯りが見え、小さな小屋に辿り着く。
 彼はその小屋の中へ入っていく。すると小屋の中が一瞬ふうっと淡い青緑の光に照らされた。
 シロちゃんとクロちゃんも彼に続いて小屋の中へ入る。
 そして、その床には魔方陣が書かれていた。一般人にも馴染み深い転移魔方陣である。
 シロちゃんとクロちゃんも、ルヴォラムに引き続き転移魔方陣に乗り移動する。
 辿り着いた先は薄暗いテントの中のようだった。テントといっても通常のテントよりは数倍大きい。
 テントの中心部には台座があり、様々な種類の肌色をした男女が二十人ほど集められていた。
 それだけならまだ良いが、彼らの両腕は鎖で繋がれ片足には逃げられないように丸い鉄球の重りが付けられていた。
 彼らの瞳は不安と恐怖に怯えている。皆年若く中には十になるかならないかという子供も含まれていた。
(噂では聞いてましたが本当にあるんですねぇ…奴隷売買ですか)
 シロちゃんの目を通して怯える奴隷達を見ながらフォレストは後ろ髪を引かれる様な気がした。
 肝心のルヴォラムは当り前のように、台座が良く見える位置に腰を下ろしている。
 黒幕のテントは光源が少ない為かとても薄暗く、紫煙が靄のように薄気味悪く漂って場は異様な雰囲気に包まれている。いや、あるいはそれはこの場に集まっている人物達から発せられている毒のような物なのかもしれない。
(恐らく、ここは闇市…それも規模が大きい)
 見渡してみると、奴隷だけでなく入手不可能だと言われているような絵画や宝石などもあるようだ。奴隷や他では入手不可能な珍しい物を求めてやってきた者達は皆、良い身なりで懐がとても肥えていそうな人物ばかりである。
 数回の取引を経てルヴォラムは奴隷を二人入手し、テントを出た。
 両腕に繋がれた鎖を引きずるようにして、いつの間に用意してあったのかテント横の荷馬車へ移動し、奴隷達を無理矢理荷台に押し込む。
 奴隷達は呻き声を上げたが、衰弱しているのかその声は消え入りそうなものであった。
 ルヴォラムは荷馬車の御者へ行け! と命令し再び転移魔方陣へと移動する。
 そうして屋敷に戻ってきたルヴォラムはそのまま自室に戻り眠ったのだった。
 
 翌日。
 昨夜の荷馬車がルヴォラムの屋敷へ入って行った。
 玄関の所までくると、後ろの二台から大き目の箱を二つ降ろした。箱はどちらも同じくらいの大きさで人間が丸々一人入れるような物であった。
(なるほど、こうしてあたかも普通の荷物を扱うように奴隷を運びこんでいたんですね。大臣ともあろう者が…)
 そして闇市に出入りしていたとなれば、きっと奴隷だけではない。
 そう…例えば麻薬。
 叩けば叩くほど埃が出そうだと、フォレストは小さなため息をついた。
 大き目の二つの箱は、屋敷内の地下の一室に運び込まれていった。辺りは薄暗くかび臭い。
 そして、その場にそぐわぬ可憐なドレスに身を包んだ勝気そうな少女が居た。
「ご苦労様。貴方達はもう行っていいわよ」
 少女は尊大にそう言い切った。その瞳にはどこか怪しい光が揺らめいている。
 箱を運んできた者達が居なくなるのを確認すると、少女はゆっくりと箱を開ける。
「さあ、そこから出てらっしゃい」
 少女の言葉に、未だにここが何処か解らず不安そうな奴隷二人はしずしずと箱から外へ出る。
「いいこと? これからはこの私アリーシャ・ジェノラットが貴方達の主よ。存分に楽しませてくださいな」 
 目の前で不安に駆られる奴隷達を見て、さも楽しそうにアリーシャは微笑む。しかしその笑みはとても十八の少女が浮べるような物ではなかった。
 不意に地下室の扉が叩かれる音がしてアリーシャの承諾の元、入って来たのは食事を手にしたルヴォラムであった。
「お父様、ありがとう」
 料理の盛られた皿を受け取ると、アリーシャは奴隷達の目の前に差し出す。
 ここへ来るまで丸三日食事を許されていなかった奴隷達は、ごくりと唾を飲み込む。
「どうぞ召し上がって?」
 空腹が絶頂に達していた二人の奴隷は勢い良く差し出された料理に食らいつく。
 すると食事を食べ終わった二人は急激に体が熱くなりその場にしゃがみこんだ。
 アリーシャとルヴォラムは互いに視線を交わし、ニヤリと笑みを浮べた。
 今、与えた食事の中には闇市で入手した、痛みを快楽に変える麻薬が混ぜられていた。
 アリーシャは愛用の鞭を愛しそうに握り締めた。
 そうして、その晩、狂気に満ちた宴がそこで繰り広げられたのだった。

 *          *          *


 ラクエルは先日姫とイトスの町中で会った事を、話すか話すまいか迷いながら重い足取りで王の私室の近くをうろうろとしていた。
 他の者達はさておき、陛下にだけは伝えておいた方が良いのではないか…。
 いや、しかし、姫に口外せぬよう言われたし……。
 うーんと悩んでいるラクエルの肩にぽん、と手が置かれた。
「どうした、ラクエル。何か思い悩んでいるようだが」
 振り向くとそこには王族の衣装に身を包んだ威厳と気品に満ち溢れた王の姿があった。姫と同じ菫色の瞳がラクエルを温かく見つめている。
「へ、陛下!」
「何をそんなに驚く?」
 王は優しい笑みを浮べる。
「いえ、少しばかり考え事をしていたものですから…」
「私で良ければ話を聞くが。それとも私には言えないようなことか?」
「いっ、いえ! そのようなことはっ…」
 しまったとラクエルは思った。
 どうもこの王には人の心を強く引き付ける何かがあるらしい。溢れる威厳と包容力に、どうしても話さねばならない気にさせられるのだ。
 ラクエルはこれはもう仕方ないと腹を決めた。
「お話させていただきます」
「そうか、では私の部屋へ。ルヴォラムも来ているが問題はないか?」
「構いません」
 王の私室へ招かれ、ラクエルは王とルヴォラムに姫をイトスの町で見かけた事を伝えたのだった。
「なるほど。イトスへ逃れていたのか。無事そうでなにより…」
 王は心の中で安堵のため息をついた。やはり一週間以上も愛娘に会えないのは辛いのだ。
「では、陛下。イトスへ騎士団を送り込まれてはどうですかな?」
 ルヴォラムが片眼鏡を正しながら言った。
「そうしたいのは山々だが、人探しの名目で触れを出している以上物々しく騎士団など送り込めば、民が不安になろう。ここは他の町へ出していた触れを無効にするだけに留めておく」
 王は落ち着いた物腰でそう告げた。
「そうですね、私もそれが良いと思います」
 ラクエルは心持ちほっとした表情になる。
 それから他愛も無い話をしたあと、ラクエルとルヴォラムは王の私室を後にした。
 人気の無い廊下を歩きながらラクエルはルヴォラムに言った。
「ルヴォラム様、幾らなんでも先程の発言は無神経だったのではないですか? 陛下は姫の事をとても溺愛してらっしゃるのは周知の事実。姫とて謀反を起こすようなお方ではありません」
「そうかもしれぬ。だが、こういう時にこそ冷静な判断が必要なのではないか? 大体、陛下は姫に甘すぎるのだ。年端も行かない十七の小娘だがあの莫大な魔力は脅威に値するのではないですかな?」
 ルヴォラムの少し冷たく見下したような声音にラクエルは少し腹立たしさを覚える。
「ルヴォラム様と言えど陛下と姫に対してそのような発言は如何なものかと。その上姫に対して小娘などと…大体今回の謀反の件に関しても噂の出所はさっぱり解らないですし。危険な魔狩人になって人々を魔族から守っている姫がそんな事を考えるなんてありえない!」
 ラクエルは王よりも姫を侮辱された事に苛立ちを感じ、それを強引に抑えるように拳をぐっと握り締めた。
 ラクエルの青い瞳が殺気に近い物を宿しルヴォラムを睨みすえる。
 ルヴォラムは鬼気迫るラクエルの視線に動揺しながらも続けて言う。
「おぬし、何故そこまで姫に肩入れする? …そうか。ラクエル、おぬし姫のことが好きなのだな?
「な、なにをおっしゃいます。私などが姫をお慕いするなどおこがましい」
 ラクエルは努めて平静に振舞おうとしたが、ルヴォラムは彼の動揺を十分に感じ取っていた。
「ほう、そうか。おぬし姫のことが好きなのだな? 身分違いの恋愛は禁じられているというのに」
 異端者を見つめるような目でルヴォラムはラクエルを見つめた。
「違う! 私が一方的にお慕いしているだけで、姫はあずかり知らぬ事だ。元々私などの手が届くお方ではない」
 自分の気持ちを偽り無く口にしたラクエルは寧ろ清々しく見えた。
「結構。実に結構だラクエルよ。…だが私に協力すればそれが叶うとすればどうする?」
 …堕ちて来い。
「何…?」
 …堕ちるが良いラクエル。
 ルヴォラムは魅惑的な、それでいて邪悪な笑みを浮べた。



TO BE CONTINUED...
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*うわぁ〜ちっともラヴくなくて申し訳ありません〜煤iT□T)


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